風邪をひいてしまった。
よく風邪をひくくせに、
強がりなので風邪で医者には行かない。
「そもそも風邪を治す薬なんてないのだから、
とにかくゆっくり寝てさえいれば治る」
という持論のもと、
だから今回も、とにかく寝ていた。
(第一ゴールデンウイークだったので病院はやっていなかった)
しかしながら、
仕事を休み、3日間ほど終始寝て過ごしたにも関わらず、
それでも全快しなかった。
こんなに質の悪い風邪を引いたのも久しぶりだったが、
同時にこんな長い時間寝たのも久しぶりだった。
今はもうだいぶよくなったが、
風邪が長引いた所為か、寝すぎた所為か、
頭蓋骨が締め付けられるような耳の詰まり感だけがなかなか治らないので、
仕方なく耳鼻科に通っている。
*
子供の頃、頭やお腹が痛くなったときに、
その自分の症状について説明するのが苦手だった。
「どういうふうに痛いの?」
母や、あるいは医者にそう聞かれると、いつも困惑してしまった。
どういうふう…って?
困って黙っていると、さらに畳み掛けるように聞いてくる。
「ズキズキ? シクシク? チクチク?」
などと、選択制にしてくれるのだけど、
いったいそれらは、それぞれどういう痛みなのか?と、
少ないボキャブラリーで生きていた子供は、
黙秘を貫くほかなくなってしまうのだった。
そういうことを何度か繰り返すうちに、
子供なりに対策を立てた。
頭は『ガンガン』、お腹は『チクチク』
と言うことにしようと決めたのだ。
どういう痛みであれ、
よほど自信のあるぴったりの表現が思いつかない限り、
その『ガンガン』と『チクチク』を使うことにした。
それまでの経験から選ばれたその二つの言葉は、なかなか万能で、
大人たちは「あぁ、やっぱりね」と、
満足いく返答を得られたという顔をするので、
こちらとしてもひと安心だった。
いつから、自分の症状をちゃんと説明できるようになったのだろうか。
あるいはいつから、
自分のことを人に説明するのが、寧ろ好きな方になったのだろうか。
と今ふと思った。
(ただ、今でもなお、『シクシク』という言葉だけは、
いったいどんな感じなのか、いまいち分からずにいる)
*
毎年の初詣のお参りでは、
決まって健康についての祈願をしている。
『(他のことは自分のなんとかするので)家族皆が健康でありますように』
と。
それにも関わらず、
こうして性懲りもなく体調を崩してしまったので、
来年からは、
(日々の体調管理にもできるだけ気を使うようにするので)
という前置きを追加しようと思う。
*
…なんて、
しばらく記事の更新をしなかったいいわけを、
少し書いてみた。
par s.yoshitomo